この夏、広島県尾道市にある百島という瀬戸内海に浮かぶ島へ行って参りました。
藝塾メンバーの一ノ瀬、鎌田、染谷と、発起人である社寺彫刻師の小野貴登司さんの4人で行きました。
猛暑の真っ只中であるこの時期に、瀬戸内海の美しい景色を眺めることができて幸せでした。
先ず第一日目に足を運んだのは、尾道の急峻な丘に作り上げられた街並み、隣接する福山市にある鞆の浦の古い港町、眼前に広がる瀬戸内の島々、百島の鄙びた家々や田畑、そしてART BASE百島。
今回の旅のホストであるART BASE百島の中尾さんから、日本の地方で行われるアート関係のプロジェクトの先駆けとも言える尾道市の島々の説明を受け、瀬戸内国際芸術祭の開催地である直島、犬島、豊島よりも先んじて様々なプロジェクトがなされていたとお聞きして驚嘆しました。
百島では、まだまだプロジェクトを盛り上げて行く只中といった様子で、着々とアート作品が築き上げられて行く様子が見て取れました。
現地で迎え入れてくださったアーティストの柳幸典さんの巨大なインスタレーション作品群には、心から度肝を抜かれました。
旅行第二日目にかけて、この旅の発起人小野さんの岡山県倉敷市にあるご実家へ宿泊させていただきました。とても快適でした!
そのまま倉敷市内にある美観地区とその中に鎮座する大原美術館を見て回りました。
倉敷の美観地区は、京都奈良を含む日本全国のあちこちに残る古い街並みの中でも最高峰と言っても過言ではないクオリティです。
江戸明治大正昭和初期の建物がそこに凝縮されて残っていること事態が驚愕です。
聞くところによると、倉敷の美観地区は幸い太平洋戦争中に空襲を受けなかった為、奇跡的に古い街並みが残ったのだそうです。
加えて、岡山県や広島県の瀬戸内方面は、日本でも地盤が最も固い地域だそうで、大地震に見舞われていないことも要因の一つと言えるでしょう。
日本最初の西洋美術、近代美術を展示する美術館である大原美術館は、建物からして荘厳でドキドキワクワクが止まらない最高な観光スポットです。
収蔵作品も素晴らしいの一言で、特に大原美術館ゆかりの画家である児島虎次郎の作品群や、児島虎次郎がベルギーで買い付けて来た名画の数々が抜群に良かったです。
その中でも、レオン・フレデリック(1856-1940、ベルギーのブリュッセル生まれ)のという画家の「万有は死に帰す、されど神の愛は万有をして蘇らしめん」という油彩画の大作が美術館本館2階にどーんとあり、圧倒的な筆力に気圧されてしまいそうになりました。
この作品のような気迫を持った作品をいつか僕も描いてみたいと思います。
これまで日本全国の様々な美術館を見て来ましたが、僕の中では大原美術館が最も心に残る美術館です。
日本での西洋美術需要期の西洋及び日本人作家の作品から、現代日本若手作家の絵画まで古今東西実に幅広く作品が収蔵されていることが感慨深く感じます。
僕が大学院で大変お世話になりました齋藤芽生先生の作品も収蔵されております。
僕も同じく将来大原美術館へ作品が収蔵されることを夢見て、これから制作に励んで行きたいと考えています。
大抵の美術館は、予算や方向性の関係によりどこかの時代やジャンルに偏っていたりするものだと思うのですが、大原美術館では日本における西洋美術の系譜をなぞるように作品が展示されている為、日本近代美術が手に取るように感じられる気がします。
とにかく倉敷市の美観地区及び大原美術館はおすすめ中のおすすめの観光スポットなので、行ける人は必ずや足を運んでみてください!
今回は大変楽しい旅になりました。
また何処かへふらっと旅をしに行きたいと考えたりします。
塾生たちには宿題として、大いに遊ぶことを課しましたが、まずは隗より始めよで、わたしたちも大いに遊んでおります!塾生の皆さん、夏休みが明けたら、楽しいエピソード聞かせてくださいねぇ〜!
染谷浩司